それじゃ聞いてくれ

昨年の10月に、エキセントリックな結婚生活を終えたんですよね。

常識的なものではなかったので他人から色々言われることも多かった10年間ですが、元夫とは今でも仲良しなので、それはまあいいんです。

引っ越しの機会に色々と物を捨て新生活を始め身の回りのことがようやく落ち着いてきた今年の春頃、ようやく人生に一区切りがついたことを実感しました。

そこで保険の見直しをしたりエンディングノートを書き始めたり、のんびりと終活を始めた矢先に癌の診断を受けました。

 

正確には前から何かしらの異常を知らせていたのを無かったことにしスルーし続けていたのですが、健康診断を受けている病院(おまけに私が健診の窓口担当)から結果が郵送されるより先に「すぐ精密検査をしろ」と電話が掛かってきてしまい、その後届いた健診結果には「癌を認めます」と書いてありました。

こういうのってあくまでも精密検査を受けるまでは”疑わしい”で済ませるものだと思っていたのに、認められてしまいました。

次年度以降も業務でやり取りが発生することが確実で、おまけに会社にも結果を提出しなければいけないので逃れることが出来ず、そこからは紹介状をもらって大学病院でありとあらゆる検査をして、今週手術を控えています。

手術が終わってみないと詳しいことはわからないのですが、検査の結果ではそこまで悪い状態ではない(ただし一度手術してみて判断する)というのが現状です。どのみち少しまとまった休みを取らないと行けないので、仕事で関わりのある人とこの先の予定に関わる人、頻繁に会う友人には病名と今後のスケジュールを伝えました。トータルでざっと15人くらい。

(諸事情により両親に伝えるのは逆にストレスが発生しそうでやめました。)


全員いい大人ですが伝えた後に嫌な思いをしなかったの、その中でマジに2人だけです。私も年齢を重ね病気をしてそろそろ大体のことを許容して生きていくのが美しいと思うのですが、余裕でむかつきました。

大丈夫です、それらの言動に何の悪気が無いことも知っています。

これを読む人の中にはリアルにこれから挙げる会話をした友人が含まれていると思いますが、悪気が無いこと、むしろ好意で言ってくれたことを理解した上できっちり文句を言うので聞いてください。怒りにショックを受けそうな人は読むのを今すぐ止めてください。

 

言われた中で一番多かったこと

「(症状が)重いの?」

これの上位種で「ステージいくつなの?」と聞く猛者もいました。聞くかね?そんなこと、と思ったけど実は殆どの人に言われました。

例えばじゃあ、余命3ヶ月の診断が出ているとして、それを聞きたいですか?さらに、相手にそれを言わせたいですか?

もしそれを聞いてお通夜みたいな空気になった時、「あっ、でも今は医療の技術も進んでるみたいだから…」なんて先にフォローを口にするのは病気をしてる本人じゃないですか?そこまでのことじゃないと思ってた…というパターンもあると思います。それについては「おめでてえな」しか言葉はありません。

そういうことを考えるのがデリカシーです。

 

次、

「どこの(部位の癌ですか)?」

ちょっと詳しい人だと、○○の癌は発見した時は手遅れ、とか△△は比較的早期発見出来るなんて知識をお持ちなので、それもあってのことかも知れませんが、そんなの人それぞれのことだし人の死期を予測しようとすな、という気持ち。ピュアな興味本位の場合(もしくはつい口をついて出ちゃった場合)、これはめちゃくちゃデリケートな話題なので避けるのが賢明です。別にどこだろうが聞かれたら多分私は言うけど、相手によっては余所のおじさんに「生理始まったの?」って聞かれるのと同じくらい気持ち悪いことだから。

 

次、人によって受け止め方が違う気はするけど、私が一番耐え難かったのはこれ。

「でも~~が出来るなら、良かった」

何も良くないが。

 

次点で「きっと良くなるから大丈夫」という言葉も、私は性格がゴミなので「はあ?」と思いました。全然嬉しくないこと言われたのにありがとうって言わなきゃいけなくなった。スタンプで誤魔化した。

 

このぐらいで止めておきます。


好き勝手書いたけど咄嗟のことで混乱するだろうし、実は私も同じような事言っちゃったことあるよ。だから自戒を込めての部分もあります。これからもよろしくお願いしますね。

 

さて、診断が出たことに対しては終活を始めていたこともあり、割とすんなり受け入れたと思います。あと、(検査結果が出る前に)ここにはもう戻ってこない可能性もあるんだと思いながら仕事の引き継ぎをするのは、私にとっては意外と心穏やかなる作業でした。これ以上はもうやらなくていいんだ…という気持ちで。

実際にはもっと生きるしまだ働かなきゃいけないし、勿論私よりも大変な状態の方はいる訳で、それなのにこんなことをつらつら書くのもおこがましいとは思うのですが、普段考えないことを考える良い機会だったのでまとめておきたかったのと、願わくばこういうことにまだ縁が無い若い年代のお友達が、どうかこれを参考にして将来出来るだけ地雷を踏みませんように…と思って書きました。ご査収ください。


この一連のモヤモヤした気持ちををちゃんと聞いてくれて、考えをまとめることに多大な協力をしてくれたてまちゃんに感謝します。